【カクレクマノミ】繁殖の秘密は性転換?特徴と生態、日本にいる種類を紹介

ディズニーの映画でその存在を広く知られたカクレクマノミ。その可愛らしいルックスで観賞魚として人気です。

今回はそんなカクレクマノミと、日本で見ることができる仲間達の特徴、生態を見ていきましょう。

カクレクマノミとは

カクレクマノミ(学名Amphiprion ocellaris)はスズキ目スズメダイ科クマノミ亜科に属する海水魚。
英名Ocellaris clownfish, Common clownfish,
False percula clownfishの名で呼ばれ親しまれています。

カクレクマノミ遊泳

カクレクマノミは西太平洋の熱帯域に生息する海水魚。
熱帯域のサンゴ礁でカクレクマノミの多くが生息しています。

カクレクマノミは体長が約10センチ〜15センチと大きすぎず、他のクマノミよりも細身でオレンジ色の体に白色のラインが3本入っている皆さんご存知の熱帯魚です。
カクレクマノミはクマノミ類の中で最も人気があり、流通もとても多いです。
鮮やかで可愛らしくチャーミングな色と見た目でペット、観賞魚として人気のある熱帯魚です。

カクレクマノミの名前の由来

クマノミを漢字にすると『隈之実』または『熊之実』。
漢字の隈はクマノミの体の模様が歌舞伎の『隈取』に似ている事から由来しているとされています。
漢字の実は、昔小さな魚の事を『実』と呼んでいた事からきています。

『隈取みたいな模様の小さな魚』という意味から由来している事がわかります。

クマノミの種類、たくさんの仲間たち

カクレクマノミが属しているクマノミ亜科の熱帯魚は全世界に28種類の仲間がいます。
日本に分布しているのはカクレクマノミを入れてその内の6種類生息しています。

クマノミ

クマノミ亜科の代表格のクマノミ。
地方ではトンボダイ、ハチマキ、チンチクリ、ヤハゲ等と呼ばれています。

クマノミの遊泳

クマノミの体の色は生まれ育った地域で異なり、通常は背びれ側が黒色、お腹側がオレンジ色ですが、成長と共に変化していきます。
宮古島などに生息しているクマノミは少し黒っぽく、石垣島に生息しているクマノミはオレンジ色が強い傾向があります。

また、クマノミは他の種類と比べて体長が大きい方です。
そのせいか縄張り意識が強く、気性が荒い性格で小さな魚などには攻撃的になります。
また、クマノミはクマノミ亜科の中で最も多くのイソギンチャクと共生します。
その数は約10種類。イソギンチャクと大の仲良しです。

ハマクマノミ

ハマクマノミは頭の部分、目のすぐ後ろに1本だけ白のラインが入っているのが特徴です。
ハマクマノミのラインは最初から1本しかないわけではなく、稚魚の時は2.3本ありますが成長の過程で1本になります。

ハマクマノミの遊泳

体長は約10センチほど、体色は赤色と黒色が強く、クマノミの種類の中でも暗い体色です。
オスは明るめのオレンジ色ですがメスになると少し黒っぽく変色します。

性格はクマノミの中で最も荒く、攻撃的。
時には宿主のイソギンチャクを食べてしまうこともあるという気性の荒さ。
ハマクマノミを飼育する際は混泳に注意が必要です。

ハナビラクマノミ

ハナビラクマノミは他のクマノミと比べて体の色が薄く、白色が混じっている淡いオレンジ色が特徴です。

ハナビラクマノミの遊泳

ハマクマノミと同じく目の横のエラの部分に白色のラインが入っています。ハナビラクマノミは体長が小さく、大きくても約9センチほど。
ハマクマノミと見分けるには大きさ、色の濃さで見分ける事が出来ます。

また他のクマノミと比べて温厚で大人しい性格。
普段は大人しいのですが、イソギンチャクへの依存が高い為、イソギンチャクを賭けて他のクマノミと縄張り争いをすることもあります。
小さな体で可愛らしく、見た目も綺麗な魚です。

トウアカクマノミ

トウアカクマノミは沖縄に生息しているクマノミ。
名前の通り頭が赤い事から由来されています。
トウアカクマノミは沖縄以南で生息していますが、クマノミの中でも数が少ない為、なかなか出会ない珍しいクマノミとして人気です。
基本的には茶色っぽい色をしており、目の横のエラの部分と、背中の部分が白くなっているのが特徴的。

体長は10〜12センチほど。性格は普段は温厚ですが、縄張り意識が強く、人間に対して他のクマノミよりも攻撃的で威嚇してくる事もあります。

背中の白い部分は上から見ると、ハートの様な形になっていて、カップルや、女性に人気です。

セジロクマノミ

セジロクマノミは名前の通り背中から口元まで太い白のラインが入っており、クマノミの中では見た目の区別がつきやすいです。
体長は比較的大きく12センチ〜14センチ程ですが、性格は大人しく、落ち着いています。

セジロクマノミの遊泳

臆病な性格の為、人間を見つけると威嚇せずにイソギンチャクの中へ隠れていってしまいます。
その為、沖縄以南のクマノミの中で最も見かける事の少ない種類です。
他の種類のクマノミと共生している事が多い為セジロクマノミを見つけると周りに別種のクマノミがいる可能性が高いです。

カクレクマノミの不思議な生態

カクレクマノミは『ワッキング』と呼ばれる体を上下に揺らしながら泳ぐ泳法が特徴的です。
可愛らしい見た目と可愛らしい泳ぎ方の人気者。
そんなカクレクマノミの面白い生態を紹介します。

カクレクマノミはイソギンチャクと仲良し

カクレクマノミに属するクマノミ亜科は大型のイソギンチャクなどと共生していますが、他の魚類はクマノミ類ほどイソギンチャクと密接な関係ではありません。

イソギンチャクとカクレクマノミ

通常、イソギンチャクには多数の触手があり、その触手に触れた魚に対して毒の針(毒刺胞)で攻撃をし、体を麻痺させて捕食します。
ですが、クマノミ類は四六時中イソギンチャクの側に居ますが、刺されることはありません。
これはクマノミ類の体の表面にイソギンチャクの触手と同じ成分の粘液を出す事で毒刺胞が反応しない様に出来ている為。
幼魚の時からイソギンチャクと触れ合う事で徐々にイソギンチャクの毒刺胞への耐性がつくとされています。

イソギンチャクとクマノミ

また、クマノミ類は外敵から身を守る為イソギンチャクの触手の中に入りその身を守ります。
一方で、クマノミはイソギンチャクの餌になりそうな有機物をイソギンチャクに運んでくるなどしています。
クマノミ類とイソギンチャクはお互いを支え合い共生をしています。

オスからメスへ?カクレクマノミは性転換をする⁈

クマノミ類には性別に面白い特徴があります。

実は生まれた時はみんなオスなんです。
あれ?メスがいないと繁殖出来ませんよね。

なんと、クマノミ類はイソギンチャクで一緒に暮らしているクマノミの中で一番大きい個体がメスへ性転換するのです。
一番大きい個体のメスが居なくなったら次に大きな個体がメスへ…と性転換するのです。
この様にオスからメスへ性別が転換する事を『雄性先熟』といいます。

性別

また一番大きな個体のメスと、2番目に大きなオスのみが繁殖行動を起こし、他の個体は繁殖行動を行いません。
この様な性別の変化はクマノミ類だけではなく、魚類では珍しい事ではありません。

まとめ

クマノミ類はオスからメスへ性転換を繰り返し、繁殖をしている事がわかりましたね。

またカクレクマノミ観賞魚として人気の高い種類です。
飼育する時は相性の良いイソギンチャクと飼ってあげると良いでしょう。