【コモドドラゴン】世界最強のトカゲの生態と毒性!天敵はいるの?

世界最強のトカゲとして知られる『コモドオオトカゲ』別名『コモドドラゴン』。
トカゲらしくない見た目と大きな体、強力な毒を持っている恐ろしいトカゲです。
過去には人を食べた恐ろしい人喰いトカゲ…

今回は伝説上の生き物『ドラゴン』の名を持ち、世界最強のトカゲとして君臨する『コモドドラゴン』の生態とトカゲらしからぬ特徴、生息地や天敵、強力な毒性について紹介していきます。

コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)とは

コモドドラゴンは有鱗目オオトカゲ科オオトカゲ属に分類される大型なトカゲの一種。

正式の和名は『コモドオオトカゲ』ですが、トカゲらしからぬイカツイ見た目から『コモドドラゴン』の通称で呼ばれています。

コモドドラゴンの全身

コモドドラゴンの最大全長は300cmにも及び、体重は160kg超えの記録があり、私たちがよく見るトカゲとは体長も体重も比べ物になりません。

大きさもさることながら、顔つきもまるで獰猛な肉食獣の様な顔つきをしているため、トカゲの仲間だと言われてもイマイチしっくり来ない見た目をしています。

コモドドラゴンの特徴

コモドオオトカゲが『ドラゴン』の異名を持つのは見た目から来ているのだろうか…

コモドドラゴンのトカゲらしくない体の特徴を見ていきましょう。

固そうな鱗

コモドドラゴンは有鱗目に属しているだけあって皮膚は鱗で覆われています。

コモドオオトカゲの顔

体色は黒っぽい灰色で、首から背中にかけて茶色っぽくなっている個体もいます。

暗い灰色のウロコを持っているので、ゾウやサイなどの固そうな皮膚をイメージさせますね。

世界最大級の体重と体長

コモドドラゴンはドラゴンの異名の通り世界最大級のトカゲです。
コモドドラゴンの最大体長が記録されているのは、セントルイス動物園の飼育個体で313cmですが、コモドドラゴンはトカゲの最大種ではなく2番目に大きいトカゲです。

世界最大のトカゲは『ハナブトオオトカゲ』というインドネシアなどに生息するトカゲで最大全長は475cmにも及ぶと言われています。

ハナブトオオトカゲ
(画像はハナブトオオトカゲ)

しかし、コモドドラゴンは体長こそ世界最大でないものの体重では世界一を誇ります。
その重さはなんと166kg。
体重は体内に食物がある時とない時で重さはかなり違うようです。

平均体重は約70kgと言われていますから記録されたコモドドラゴンの体の中には100kg近くの食物が入っている事になりますね…

MEMO
世界最大の体長とされているのはハナブトオオトカゲですが、ハナブトオオトカゲは体長に対し尻尾が3分の2以上を占めています。
そのため尻尾を含めない体の大きさだけならコモドドラゴンの方が大きいのかもしれません。

まるで恐竜?獰猛な肉食獣のような顔つき

頭は体に対して小さめで細長く、顔の前方に鼻があります。

コモドドラゴンの怖い顔

鋭い目つきをしていて、見た目からはコモドドラゴンがトカゲだとは思わないでしょう。
トカゲと言うよりはドラゴンの顔の方が近い気もしますね。

コモドドラゴンの生息地

コモドドラゴンの生息地はインドネシアのギリダサミ島、ギリモタン島、リンチャ島など。
名前にも付いているコモド島にも生息しています。

コモドドラゴンの生息地

コモドドラゴンはインドネシアの中でも落葉樹林やサバンナ、河辺の近くの林などを好んで生息しています。

またコモドドラゴンは1日に10kmほど移動すると言われています。
これはトカゲとしてはかなり活発な運動量ですが、他の島などに移らず、一定の生息地から出ない『地元愛』がある動物だと言われています。

コモドドラゴンの棲む所

コモドドラゴンは普段は色々な穴の中で過ごす事が多いようです。

コモド島の景色

全長150cm以下の個体は地表の穴や、樹洞や樹皮の下の穴を巣穴としています。全長150cm以上の大型の個体はイノシシやジャコウネコの使っていた古い巣穴を使ったり、自ら掘って巣穴を作る事もあるようです。

コモドドラゴンの生態

コモドドラゴンは世界最強のトカゲだと言っても過言ではありません。
トカゲ界最強のコモドドラゴンの詳しい生態を見ていきましょう。

コモドドラゴンの食性

コモドドラゴンはドラゴンの名の通り食性はかなりの肉食です。

捕食の対象は、コウモリやサル・ジャコウネコなどの哺乳類、鳥類やワニの卵、コブラやウミガメなどの爬虫類、その他動物の死肉など。

コモドドラゴンの食事画像: Mats Stafseng Einarsen

また、自分より小さい個体だけではなく大型の水牛や鹿、人間までもが捕食の対象となっています。

肉ならなんでも食べてしまう食性のようですね。

発達した嗅覚

動物の死肉を食べるコモドドラゴンは嗅覚が非常に発達しているといわれていて、一説によると4km離れた場所にある動物の死骸の匂いを察知する事ができるとか。

コモドドラゴンの待ち伏せ

また、コモドドラゴンは泳ぐ事も出来るようで約450mもの距離を泳ぎ、水深4mまで潜水した記録もあります。
発達した嗅覚と潜水で川の向こうの死肉までたどり着く事も可能です。

獲物は毒を使って捕食

コモドドラゴンの狩りは待ち伏せ型。
地面に身を伏せて周囲の風景に溶け込み獲物が来るのをじっと待ち、獲物がくると飛び掛かり噛み付く。

コモドドラゴンに噛み付かれた獲物はコモドドラゴンの持つ毒により、ほとんどが敗血症を起こして死んでしまいます。

コモドドラゴンの狩りの様子

運良く逃げ延びられたとしても敗血症を起こして息絶えてしまい、コモドドラゴンの優れた嗅覚によって見つかって食べられます。

コモドドラゴンは単為生殖が出来る

単為生殖とは文字通り雌が雄との交尾をせずに卵を産む事。トカゲ界では珍しくはありません。
コモドドラゴンは2006年にイギリスの動物園で交尾無しで卵を産み子が孵った記録があります。

コモドドラゴンのサイズで単為生殖できるのは驚きですね。

コモドドラゴンの繁殖

コモドドラゴンは5月から8月の間に交尾を行い、9月ごろになると斜面などに穴を掘り10〜30個の卵を産み落とします。

コモドドラゴンの雄は交尾の時期になると、雌を巡って争います。争い方はとても斬新で、オス同士は後ろ足で直立しての組み合いをします。(コンバット行動・コンバットダンスと呼びます)

まるでダンスを踊っているように見えますね。

コモドドラゴンの毒

最近までコモドドラゴンが引き起こす敗血症は、口の中の食べ残しを栄養とする細菌がいるためだと考えられていました。
ですが、最近の研究でコモドドラゴンの持つ毒によって引き起こされている事が明らかになっています。

コモドドラゴンは狩りの際に、獲物に噛み付くと、ノコギリ状になった歯の間にある毒管から毒を流し込みます。

コモドドラゴンの正面

この毒には血液の凝固、血圧の低下、筋肉の麻痺などを引き起こす成分が含まれている為、長い間噛み付かれた獲物は逃げ切れたとしても失血死してコモドドラゴンの食料となってしまいます。

噛まれたら逃げ切れない…
とても厄介な毒を持ったトカゲです。

コモドドラゴンの血は傷を癒す⁈

ドラゴンの血で傷が治る…なんとも中二病臭いフレーズですが、最近の研究でコモドドラゴンの血が傷の治癒を早める効果があると発表されました。

コモドドラゴンは口の中に強力な細菌や毒を持っていますが、自身は細菌や毒に感染しません。
その事に目を付け研究、開発が行われコモドドラゴンの血液から『DRGN-1』と呼ばれる抗生物質が作られました。

DRGN-1のイメージ

実際にマウスによる実験でも強力な殺菌作用と治癒の促進が確認されたようです。

コモドドラゴンは人食いトカゲ

コモドドラゴンが狙うのは動物だけではありません。
過去には家畜が襲われた例があり、時には人間を襲う事もあるようです。

かわいいコモドドラゴン

1974年に大人の男性がコモドドラゴンに襲われ、食べられた記録があります。以降30人程度がコモドドラゴンに噛まれ、内5人が死亡しています。

そのため日本では人の命を脅かす動物として『特定動物』に指定されています。

コモドドラゴンの天敵

コモドドラゴンが生息している地域ではコモドドラゴンの命を脅かす天敵は存在しません。
ですのでコモドドラゴンの生息域では、人間を除いた動物の中で、最強の動物だと言っても過言ではないでしょう。

舌を出したコモドドラゴン

ですがそんなコモドドラゴンでも捕食される側に回る事があります。
それは同じコモドドラゴン、いわゆる共喰い。
共喰い自体は動物界では当たり前のことです。

生息域での食物連鎖の頂点に立つコモドドラゴンはその数が増えすぎると生態系が崩れてしまいます。
生態系のバランスを取るためには共食いも必要な事なのかもしれません。

コモドドラゴンは絶滅危惧種

生息域最強のトカゲとして君臨するコモドドラゴンですが、現在は絶滅危惧種として指定されています。

原因としてはコモドドラゴンの密猟や雌の死など…
パダール島では餌となる鹿を人間が狩り尽くしてしまった為、1975年に絶滅しています。

コモドドラゴン注意の標識

また、ほかの島でも人間の開発による森林の伐採などの影響で個体数が年々減少しています。
現在、野生下での生息数は約3000〜5000頭ほどしか生息していないと言われています。

コモドドラゴンはインドネシアの観光の目玉にもなっています。絶滅だけは避けてほしいものですね。