トンボの中でも知名度の高くトンボ界最強の呼び声高い『オニヤンマ』。
実物を見たことがない人でも知っている人の多いトンボです。
昆虫界最強の呼び声も高く、スズメバチやオオカマキリとその座を争うほどの生態を持ちます。
オニヤンマの大きくて強そうな姿に魅力を感じ、子供の頃にオニヤンマを見つけてはしゃいでた人も多いはず。
今回は子供の頃の憧れでもあった、オニヤンマの特徴や知られざる生態、天敵スズメバチとの関係性や絶滅の可能性について紹介します。
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オニヤンマの特徴
オニヤンマはトンボ目のオニヤンマ科に分類されているトンボの一種。
成虫は光沢のある黒色に黄色の縞が入っている見た目も美しく、何故だか惹かれる魅力をもっています。
そんなオニヤンマの特徴を見ていきましょう。
日本最大の大きさを誇るオニヤンマ
オニヤンマの成虫は体長約9〜11cmまで成長します。
日本全土に生息するアキアカネ(通称赤とんぼ)は体長3.3〜4.5cm程度。
なんとオニヤンマはアキアカネと比べると約2倍〜3倍以上の大きさを誇ります。また翅も大きいので、飛んでいる時はアキアカネと比べると一回り以上大きいのです。
日本産トンボの中ではオニヤンマが最大種ですが、残念な事に世界一ではありません。
世界一のトンボはテイオウムカシヤンマという種。
体長はおよそ17cmもあると言われていますから驚きです。
もし野生で出会いでもしたら大きすぎてその迫力にビックリしそうですね!
オニヤンマのヤゴ(幼虫)
オニヤンマは水の綺麗な小川や、湧き水でできた水たまりなど、水の流れが緩やかな所にに卵を産み落とします。
産み落とされた卵は約1ヶ月ほど経つと孵化しヤゴ(幼虫)になります。
産み落とされたばかりのオニヤンマのヤゴは白く半透明な色をしています。
時間が経つにつれ次第に茶色、黒色に変化していきます。
またオニヤンマのヤゴは他のヤンマ類のヤゴと違い身体にくびれが入っていないのでオニヤンマのヤゴかそうでないかはくびれで見分けがつきます。
オニヤンマのヤゴは砂の中で目だけを出し獲物を待ち伏せて通りかかると下唇で素早く捕獲します。
意外な事にオニヤンマのヤゴは肉食。小魚や昆虫などを食べて成長していきますが、餌が少ない時は共食いする事もあります。
オニヤンマのヤゴはそんな生活を5年程続けます。
その中で10回ほど脱皮を繰り返し羽化する前には5cm程の大きさまで成長します。
オニヤンマの生態
トンボの中でも強さの象徴としてのイメージになっているオニヤンマ。その驚くべき生態を見ていきましょう。
噛む力は強力
トンボが噛みついてくる事を知らない人もいると思います。
そりゃそうです。トンボを捕まえる時は翅を掴むか、虫取り網で捕まえますから、トンボが噛み付いて来る事はあまり知られていません。
実際にアキアカネなどの、よく見かけるトンボに噛まれてもそこまで痛くはないのですが、オニヤンマは別です。
オニヤンマは大顎と呼ばれる部分が発達している為、噛む力がとても強いのです。
噛まれてしまうと、出血することもあるとか…
トンボに噛まれて出血するなんてあまり聞いた事ありませんよね。
そんなオニヤンマの食性は肉食。
主な捕食の対象は、自分より小さい昆虫などです。
オニヤンマは強い大顎を器用に使い、蛾やハエ、セミ、アブなどを空中で捕食します。
オニヤンマを見つけて捕獲する際は虫あみや、手袋を使うなど、注意が必要です。
地球一の飛行性能と日本昆虫界最速レベルの飛行速度
皆さんはトンボを捕まえようとした時に、素早く飛んで逃げられたり、空中で移動と急停止を繰り返し、なかなかトンボを捕まえられなかった記憶はありませんか?
実はオニヤンマを含むトンボの飛行性能は、人間の現代科学を駆使しても再現出来ないと言われているほどだとか。
オニヤンマの世界最高峰の飛行を可能にするのが、背中に生えている4枚の翅。
前翅と後翅を分けて巧みに使い急停止、急発進、バック飛行やホバリングをすることができます。
これはヘリコプター、戦闘機などではとても再現出来ない地球一の飛行性能です。
また、オニヤンマは大きい身体で時速約70km/hもの速度で飛ぶ事が可能です。
ちなみに昆虫界一の飛行速度を持っているのはギンヤンマ。約時速100km/hで飛行するとされています。
オニヤンマは最強?天敵スズメバチを捕食する!
オニヤンマの天敵であるスズメバチは、毒針を持っている事で知られており、人間にとっても非常に脅威な昆虫です。
危険な針を持つスズメバチですが、実は昆虫界最強ではないようで…
オニヤンマvsスズメバチの空中戦において鍵となるのは、やはり飛行性能。
世界一の飛行性能を持つオニヤンマは、スズメバチよりも空中戦に強いはずです。
しかも、オニヤンマの足には細かいトゲのようなものがあるので、捕まってしまうとなかなか逃れる事は出来ません。
実際にオニヤンマが、スズメバチを捕食している動画などもあります。
ですがスズメバチも捕食されてばかりではありません。時にはオニヤンマを返り討ちにして逆に捕食する事もあります。
オニヤンマとオオスズメバチは互いが天敵なのです。
生息数の減少。オニヤンマは東京都の準絶滅危惧種
強さの象徴であり、カッコいい昆虫が好きな人に人気のオニヤンマですが、東京都と沖縄県では生息数が減少。現在、準絶滅危惧種に指定されています。
オニヤンマなどのトンボは流れが緩やかで、綺麗な小川などを好む傾向があります。
ですが近年、人間による都市開発などで、オニヤンマに必要な環境が失われているのでしょう。
やはりオニヤンマも昆虫です…スズメバチは倒せても、環境を破壊されると棲む場所がありません。
オニヤンマの絶滅を防ぐ為にも捕まえたらきちんと飼ってあげて下さい。