▲Top画像:Jens Petersen
柔らかい体を持ちカラフルな色合いと様々な模様を持つ生物ヒラムシ。
ヒラムシは種類が多く、海で見かけるとウミウシの仲間のように見えるものもいます。
また、海に生きる生物は様々な繁殖方法を持っていますが、今回紹介するヒラムシは想像の斜め上の交尾方法を持っていました。
今回はヒラムシの交尾とウミウシとの違いについて見ていきましょう。
ヒラムシとは
ヒラムシとは扁形動物渦虫鋼ヒラムシ目の動物の総称として呼ばれています。
このヒラムシの仲間には、同じ扁形動物門に属するプラナリアやサナダムシなどがいます。
ヒラムシやプラナリアは扁形動物の言葉の通り、体は平らな形をしています。
おもに海岸の石や岩の裏に這って生活していて、泳ぐ事もあるようですが、あまり長時間は泳げません。
また見た目に反して食性は肉食の種が多いようですが、一部の種では他の動物に寄生するものもあるようです。
ヒラムシの特徴
ヒラムシの特徴は名前ヒラムシ(平虫)の通り、体が平らで厚みがありません。
というのもヒラムシは循環器や呼吸器を持っておらず、拡散作用というものに頼っています。
この特徴は扁形動物に共通する特徴で、ヒラムシの他にもプラナリアやサナダムシも同じ特徴を持っています。
見た目では頭部は分かりづらいですが、頭部の部分には神経が集中している(神経節)為、そこを頭部と見なされています。
またツノヒラムシなどでは頭部とされている部分にツノが生えています。
ヒラムシはカラフルな模様や体色をしている種もいて、中にはウミウシと見た目が似ている種も存在しています。
ヒラムシの生態
平らな形をしたヒラムシはどんな生態を持っているのか見ていきましょう。
肛門がない
ヒラムシは循環器、呼吸器を持っていないだけでなく肛門も持っていないんだとか。
というのもヒラムシのお腹の中央部分に口があり、その口で餌を食べ、排泄する時も口から出します。
ヒラムシは消化器官が口から体中に複数に枝分かれして伸びています。このことを多岐腸類と呼びます。
あまり想像したくないですが、ヒラムシは口から食物を摂取しその食物は体中を巡った後に、口から排出されます。
見た目に似合わず肉食
ヒラムシは平らでうねうねした見た目から、微生物などを食べて生活してそうな感じがしますが、意外なことに肉食の種が多いようです。
おもに捕食するのは軟体動物の巻貝や二枚貝など。養殖用のカキなども食べてしまうので水産上での被害もあるようです。
性格も獰猛で、多くは貝の隙間から入り込み貝肉を食べるとか…
全ての種が肉食というわけではなく、一部の種は他の動物に寄生するそうです。
ヒラムシの毒性
ヒラムシの仲間でツノヒラムシやオオツノヒラムシはふぐ毒である『テトロドトキシン』を持っています。
毒は消化器などがある中心部に集中していますが、体表の粘液にも毒がありますので、素手で直接触れるのは避けましょう。
ヒラムシの交尾が衝撃的
ヒラムシは雌雄同体。雄にも雌にもなれちゃう体を持っています。
では雄雌はどうやって決めるのか…
それは予想の斜め上『ペニスで決着をつける』です。
ヒラムシは交尾の際にお互いの陰茎を武器にし、相手の背中などを刺し合います。
この勝負は一時間ほどにも及ぶそうで、勝った方が雄、負けた方が雌になり受精、産卵をします。
陰茎を使って決闘をする面白い交尾の方法ですね。
ヒラムシとウミウシの違い
様々な模様、色を持つヒラムシはウミウシと姿が似ているものも多いですが、それぞれ違う特徴を持っています。
まずヒラムシとウミウシではそもそも生物分類上でも違い、ヒラムシはクラゲやサンゴなどが含まれる『扁形動物門』、ウミウシはイカやナメクジなどが含まれる『軟体動物門』に属します。
見た目の特徴としてはヒラムシは薄く平べったい形をしていて、ウミウシはヒラムシよりも厚みがあり、『二次エラ』と呼ばれる突起をもっています。
画像:Chaloklum Diving 画像:Alexander R. Jennerまたヒラムシは心臓などの循環器や呼吸器、肛門を持っていないのに対し、ウミウシは循環器と呼吸器、肛門も持っています。
どちらも様々な模様やカラフルな色を持ち、見分けが付きづらいようですが、突き詰めていくと違う生物だという事がわかります。
水槽内でのヒラムシの駆除方法
ヒラムシはプランクトンから変態するものもいるようで、海水を使った鑑賞用の水槽などで大量発生する事もあり、かなりの厄介者として扱われています。
ヒラムシの主な駆除方法は専用の駆除剤を使う、スポイトなどで水流を吹き付け剥がすなど。
またヒラムシは海産で海水の中でしか生きられないため、淡水での除去も効果的でしょう。