水族館の中でも特に人気があるイルカショー。
大人も子供も両方楽しませてくれる楽しいイベントですよね。
そのイルカショーの中で大きなイルカを見た事はありませんか?
それはもしかしたら『オキゴンドウ』なのかもしれません。
今回はイルカショーなどで人気の『オキゴンドウ』の特徴や生態・別名『シャチモドキ』の由来などを紹介していきます。
オキゴンドウはイルカ?クジラ?
オキゴンドウはクジラ目ハクジラ亜目マイルカ科のオキゴンドウ属に属するクジラ。
クジラ目のマイルカ科というクジラなのかイルカなのかよくわからない分類をされていますね。
ですが、そもそもクジラとイルカの分類上での違いはありません。
日本では一般的に体長が4m以下でイルカ、4m以上でクジラと呼ばれています。
オキゴンドウは体長6m程まで成長するのでクジラと呼ばれます。
オキゴンドウの特徴
オキゴンドウは全長6m、体重は約1500kgまで成長します。
体色はかなり黒に近い灰色。お腹の方には明るい灰色の模様が入っています。
CC BY 3.0/Juan Ortega
背びれは30cm程あり、イルカの背びれのように尖っています。胸ビレはシロイルカなどを想像させるように、短く細く先端が尖っています。
歯は上下にびっしり生えており上顎に14〜21本、下顎に16〜24本、計44本もの歯が生えます。
オキゴンドウの見た目はクジラというより、シャチやイルカにとても似ていて水族館でも見る事ができます。
オキゴンドウの生態
オキゴンドウは世界中の海(大西洋やインド洋、太平洋や地中海など)に生息しています。
基本的には沖合を好み生息しますが、浅い海域や沿岸部でもたびたびその姿を見る事が出来ます。
ちなみにオキゴンドウの名前の由来は『沖合に棲息するゴンドウクジラ』から来ていると言われています。
CC-BY-SA-3.0/Pcb21
オキゴンドウは非常に社交的なイルカです。
基本的には10頭から50頭ほどの群れを作り行動します。
また、時にはバンドウイルカなどの他の種とも群れを作る事もあるそうで、最高で500匹の大きな群れを作った事もあるとか。
CC BY-SA 4.0/Luke Haplin
オキゴンドウは潜水を得意としており、日本では水深600m、ハワイでは水深920mまで潜水した記録があります。
最大潜水時間は約18分です。
また水中では非常に活発に動き回り、時にはイルカのショーの様に、水面から大きくジャンプし身体を
水面に叩きつける『ブリーチング』などの行動も行います。
オキゴンドウの英名はシャチモドキ
オキゴンドウの英名『False Killer Whale』は日本語に訳すと『シャチモドキ』。
この英名の由来については諸説あるようで、一つは1800年代の研究において、オキゴンドウの頭蓋骨とシャチの頭蓋骨が似ていた事から由来した説。
もう一つはシャチの様な見た目で、シャチの様に他のイルカや小型のクジラを捕食する事から由来したという説です。
CC BY 2.0/NOAA Photo Library
食性に関してもオキゴンドウはシャチと非常に似ていて、マイルカ科の他の種は丸飲みにできる大きさの獲物しか狙わないのに対し、シャチとオキゴンドウは大きな獲物の肉を抉り取って食べます。
このことからシャチと近縁種ではないかと考えられています。
またこの食性から漁業などで、網にかかったマグロなどの肉や内臓を抉り食べてしまいます。
そのため漁業の分野ではオキゴンドウによる被害は甚大で、漁師からは嫌われているようです。
オキゴンドウは人懐っこいイルカ
オキゴンドウは他のイルカ達と群れを造るほどの優れた社交性を持っていますが、それは人にも言える様です。
非常に人に懐きやすい性格をしているので、飼育されている水族館の数も多く、他のイルカなどと同じ様にショーに出てくる水族館も少なくはありません。
CC BY-SA 2.0/Hideyuki KAMON
イルカショーのイルカより体が大きく、ジャンプするとたくさんの水が跳ねるので、イルカショーでは子供達に人気があります。
オキゴンドウは絶滅危惧種?
現在オキゴンドウの全体の生息数はわかっていません。
その為、IUCNのレッドリストでは『低リスク』から2001年に『情報不足』に分類が変更されています。
海洋大気庁と呼ばれる機関では、アメリカのハワイにいる生息群を絶滅危惧種として指定されています。
一部の地域のみで絶滅危惧種に指定されていますが、世界的に見ると絶滅の恐れはないようです…と言いたいところですが、懸念の材料は多いのが現状の様です。
まず挙げられるのが、オキゴンドウが被害を与えている漁師などによるオキゴンドウの駆除。
実際に1965年から1980年の15年間で900頭ものオキゴンドウが駆除されています。
もう一つは座礁です。オキゴンドウは定期的に浜辺に座礁するんだとか…
しかも群れごと座礁する事が多く、その数が多いのも特徴です。
1946年にはアルゼンチンで835頭ものオキゴンドウが座礁した記録があります。
1986年には西オーストラリアで114頭が座礁。
その内96頭は地元のボランティアなどにより救出されています。
CC BY-SA 3.0/Bahnfrend
最近でも2017年にフロリダ州で大量座礁が起き、82頭が死んでいます。
集団座礁は昔の話では無く、現在も起きている現象です。
絶滅危惧種には指定されていませんが、懸念材料はあるため今後指定される事があるかもしれませんね。