今回紹介するのは『エンジェルトランペット』。
可愛らしい見た目と、可愛らしい名前を持つ花ですね。
ですがその見た目とは裏腹に驚く事にこの花は大変な危険な毒を持つ花でした…
そんな『エンジェルトランペット』の毒性などを見ていきましょう。
エンジェルトランペットとは
エンジェルトランペットはアメリカの熱帯地方原産、キダチチョウセンアサガオ属の低木。
『キダチチョウセンアサガオ属』は木の様に空に向かって成長し、下向きに花を咲かす種のことを指します。
ちなみに『チョウセン』は原産国が朝鮮だからという意味ではなく、外国から入ってきた種という意味を持っています。
エンジェルトランペットは春から秋にかけて下向きの花を咲かせます。
花弁の先端は5つに分かれ、それぞれ反り返っていて、形はまるでトランペット。
花の色は白が一般的ですが、黄色やオレンジ、ピンク色などの花を咲かせる種類もあります。
エンジェルトランペットの強力な毒性
可愛らしい見た目のエンジェルトランペットですが、その見た目からは想像もつかないほど強力な毒を持っています。
エンジェルトランペットが持っている毒はアルカロイド系の毒(アトロピン、スコポラミン)。
この毒は幻覚、頭痛、目眩、意識喪失、錯乱などを引き起こす強力な毒です。
なかでも『スコポラミン』は幻覚や、錯乱を起こし、『意識はあるが自分の行動に対する自覚が無い状態』に陥るといわれています。
非常に怖い毒ですが、毒を抽出して麻酔薬などの薬として使われる事もあったようです。
また麻薬の様な中毒症状から、江戸時代には『曼陀羅華(まんだらけ)』や『キチガイナスビ』とも呼ばれていたようです。
恐ろしい『悪魔の吐息』
エンジェルトランペットから抽出される『スコポラミン』はドラッグとしても流通しており、『悪魔の吐息』と呼ばれています。
悪魔の吐息は『世界で一番危険なドラッグ』だと言われており、一度大量摂取すると死に至る事もあるとか…
この悪魔の吐息は顔にかけられただけで頭が混乱し、自分での思考が出来なくなり、簡単に他者に操られる様になってしまうといいます。
この特性を利用し、実際に犯罪にも使われています。
ある時は強盗にスコポラミンの粉末を顔にかけられた後、強盗達のいいなりになってしまい、自宅の物全てを被害者自らの手で、強盗達の車に運んでしまった事もあるとか…
また近年では世界中でドラッグとしても蔓延しており、悪魔の吐息がデートレイプドラッグして悪用されています。
被害者の記憶が欠如してしまうため、被害にあった事を証明する事が難しいようです。
エンジェルトランペットの事故例
危険な毒を持ったエンジェルトランペットですが、日本では育成、所持などの規制がされていません。また、綺麗な見た目からガーデニングなどの園芸植物として人気があります。
意外なことに身近にある事が多い為、誤って摂取してしまう事もあるようです。
エンジェルトランペットの蕾がオクラに似ている為、誤って鍋に入れて食べてしまったなどの事故もあります。
エンジェルトランペットの名前の由来
エンジェルトランペットは正式名称ではなく、園芸名です。
正式名称は『ブルグマンシア』。
オランダの植物学者セバールド・ユスティヌス・ブルグマンズにちなみ命名されたと言われています。
ただこの『ブルグマンシア』という名前ではなかなか花が売れなかったそうで、花の名前を変えた途端、たくさん売れるようになったそう。
そのため正式名称よりも園芸名(通称)の方が広まっています。
他にも『キダチチョウセンアサガオ』、『ダチュラ』、『エンジェルストランペット』などと呼ばれています。
エンジェルトランペットの花言葉
見た目が可愛らしいエンジェルトランペットの花言葉は『愛嬌』、『変装』、『夢の中』、『偽りの魅力』、『あなたを酔わせる』、『開放的』などです。
可愛らしい花の見た目からは思いつかない程の毒を持った、エンジェルトランペットらしい花言葉ですね。