【キョウチクトウ】身近な花に毒がある⁈強力な毒性と剪定の注意点

突然ですがキョウチクトウ(夾竹桃)という花をご存知ですか?
『危険な愛』、『用心』、『油断大敵』の花言葉を持つこの花は公害などに強く、よく育つため高速道路や小学校の校庭によく植樹されています。

実はこのキョウチクトウには毒があり、死亡事故の事例もあります。
今回は身近にある花、キョウチクトウ(夾竹桃)の特徴や毒性などについて紹介します。

キョウチクトウ(夾竹桃)とは

キョウチクトウ(学名 : Nerium oleander var. indicum)(英名:Oleander)はキョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木(小高木)。
原産地はインド。日本には江戸時代中期に中国から伝来したと言われています。

夾竹桃の花

属名の「Nerium」は、ギリシア語で「neros(湿った)」という意味で、この属の植物が湿地に強い事に由来しています。
和名『夾竹桃』は中国後から用いられており葉が竹に、花が桃に似ていることから由来しています。

広島市では原爆後の荒れた焼土にいち早く咲いた花として復興のシンボルとなっています。
また、公害に強く広島市、鹿児島市、尼崎市、千葉市では市町村の花に指定されています。

キョウチクトウ(夾竹桃)の特徴

キョウチクトウは劣悪な環境にも強く、よく育ちます。寒さにも強く越冬も可能。
樹高は3〜5mほどで葉は少し固く、光沢があり長い楕円形で両端が尖った形をしています。

キョウチクトウの葉

花は筒状で花びらが5枚プロペラ状に丸く開きます。

キョウチクトウの花弁

花色は赤、ピンク、オレンジ、白、黄色の園芸品種があり、白色は一重咲き、桃色は八重咲きになる事が多いようです。

キョウチクトウ(夾竹桃)の持つ毒性

キョウチクトウは乾燥や大気汚染に強く、優れた園芸植物ですが、その反面強力な毒を持っています。
キョウチクトウの持つ毒について見ていきましょう。

周囲を汚染するほどの強い毒

キョウチクトウは強い毒性を持つ『オレアンドリン』を持っています。オレアンドリンは毒として有名な青酸カリよりも毒性が強く0.3mg/kgが致死量とされており、青酸カリの致死量200〜300mg/kgと比べてもその毒性の強さが伺えます。

オレアンドリン

オレアンドリンなどのキョウチクトウの毒は果実、花、葉、枝、根などキョウチクトウの全て部分に渡ります。
また毒はキョウチクトウだけに留まらず、周辺の土壌まで毒が広がります。

キョウチクトウの葉や、枝を燃やす煙も毒となり、周辺の土壌を腐葉土にしても1年間は毒が消えないと言われています。

キョウチクトウ(夾竹桃)の中毒症状

キョウチクトウの主な中毒症状は非回転性めまい、嘔吐、下痢、四肢脱力、倦怠感、腹痛です。
毒は摂取から症状の発症まで1時間と非常に短く即効性があります。

キョウチクトウ(夾竹桃)の毒による中毒の事例

生育旺盛で育成の簡単なキョウチクトウは世界中で栽培されていて、中毒に至る経緯も様々です。
中毒事例の一部を紹介します。

・日本ではキョウチクトウの枝を箸に使い、フランスでは串焼きの串に使い死亡者がでた例がある。

・千葉県の農場の牛に与える餌の中に誤ってきの葉が混入、この餌を食べた乳牛20頭が中毒を起こし内9頭が死亡。
混入した葉は一頭あたり0.5g程度。
牛の経口摂取の場合、乾燥葉50mg/kgが致死量という報告もある。

・2017年、香川県の小学校の校庭に植えられていたキョウチクトウの葉を3〜5枚ほど食べた児童2人が中毒症状を起こし入院した。

キョウチクトウ(夾竹桃)の品種

花や植物に悪い環境でもよく育ち園芸植物として重宝されているキョウチクトウの品種の一部を紹介します。
紹介する花もそれぞれが毒を持つ有毒植物です。

ヤエキョウチクトウ

ヤエキョウチクトウの花

日本で最も普及している品種。
花は紅色の八重咲き。日本でキョウチクトウと言えば本種の事を指します。

セイヨウキョウチクトウ

セイヨウキョウチクトウの花

地中海沿岸産の品種。
キョウチクトウと葉や花の形に大きな違いがなく、見分けるのが難しいです。
一般的にセイヨウキョウチクトウは花の芳香が弱い、または無臭である事が多いようです。
ですが花の個体差もある為、芳香だけで完全に区別するのは難しいようです。

シロバナキョウチクトウ

シロバナキョウチクトウの花

花が白く、一重咲き。
キョウチクトウと花の形が似ています。

キバナキョウチクトウ

キバナキョウチクトウの花

ペルーなどに分布しています。
花弁は5枚螺旋状につき、花色は黄色。
キョウチクトウと違い寒さには強くありません。

剪定など触る際には要注意

園芸植物として人気の夾竹桃は生育旺盛な為、定期的に剪定をして風通しを良くする必要があります。

キョウチクトウは枝、葉の毒が特に強いとされて剪定などをする際には特に注意が必要です。
剪定した時に枝の切れ目から樹液が出る事があります。
当然ですがこの液には毒が含まれています。
直接触ると皮膚炎になる事もあり、目に入ると最悪の場合、失明に至る事もあります。

キョウチクトウの枝イメージ

またキョウチクトウの毒は経口毒性がある為、口から摂取をしてしまうと強い中毒症状が出る可能性があります。

経口摂取した場合はすぐに病院に、傷口などに触れてしまった場合はすぐに水で洗い流し、病院に行きましょう。
中毒症状が出てからだと動けなくなる可能性もあります。死亡事故、事例も多いキョウチクトウですので接触した場合は油断せずに早めの対処をした方がいいでしょう。

また、剪定をする際は肌を露出せずに、手袋、マスク、ゴーグルをするなどして十分に対策をする事をオススメします。

キョウチクトウ(夾竹桃)の処分方法

キョウチクトウを燃やす煙にも毒が含まれます。
葉を乾かし高温で焼却すると毒は出ない為、燃やすゴミとして回収する自治体もありますが、個人での焼却はかなり危険です。

キョウチクトウ毒煙のイメージ

自治体によって処分方法が異なる為、事前に問い合わせると良いでしょう。

まとめ

高速道路や小学校の校庭など身近な所にもあるキョウチクトウの意外な毒性などを紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
園芸植物としても重宝されているキョウチクトウは取り扱いに注意すれば何も問題はありません。
毒の危険性、処分方法を理解しガーデニングや鑑賞を楽しんで下さいね。